調査概要
A 調査の目的・意義
今後の日本のガイド制度について考察するため、各国のガイド制度について調査を実施した。
なお、2009年に日本の観光庁が同様の調査を実施しているものの、対象が通訳ガイドに限られているほか、対象国もイギリス・フランス・ドイツ・イタリア・アメリカ(シカゴ)の5か国のみであり、
また、調査から10年以上が経過しているため、イギリス・フランスなどは現在の制度と異なる記載が見られる*1。
他、高島(2016)氏による論文「通訳案内士の輩出方法に関する一考察」*2
ではフランス・イタリア・ドイツ・イギリス・中国について資格取得・認定プロセスの調査を行っているが、調査対象国が限られ、また、研究の目的が「通訳案内士の輩出方法」に特化している。
本調査は、調査対象国を8つの国・地域まで広げ、また、使用する言語や資格の有無に関わらず、ガイド全般について広く調査を行い、考察を行おうとするものである。
B 調査手法
調査対象国
旅行者数の規模や日本との地理的関係性を考慮し、以下の計8つの国・地域を調査対象とした*3。
なお、国・地域全体で統一された制度が存在せず、州や県ごとに制度が分かれている場合は、なかでも特に旅行者数の多い地域について調査した。
- 日本
- イギリス
- フランス
- スペイン
- 中国
- 台湾
- アメリカ
- タイ
調査対象とする「ガイド」の定義
ガイドとは「旅行者を希望する言語で案内し、その地域の遺産や施設などの観光資源について説明を行う者」(世界観光ガイド協会連盟:World Federation of Tourist Guide Associations, 2003)と定義し、調査の対象もこの定義に沿う。通訳の有無や、案内の対象(個人、団体)は問わない。
調査項目
資格・認定制度
- 制度概要
- 資格取得・認定プロセス
- 資格取得・認定後の対応
調査時期
2020年6月~2020年8月
調査方法
主に下記を例とした文献調査を実施。
- 各国のガイド制度を規定する法律
- 観光産業を所管する行政機関の資料
- ガイド制度を運営する機関の資料
- その他ガイドに関連する団体の資料